外壁塗装は基本的に高圧洗浄器で汚れを落として下地処理をしたあと、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りで仕上げます。
下塗りは下塗り材を使用し、中塗り、上塗りは上塗り塗料を2回塗装します。
下塗り材は、外壁材と塗料を密着させ、塗膜の機能を最大限に発揮させるために重要なもので、外壁材や外壁の状況に合った下地材を選ぶ必要があります。
今回は、外壁塗装でも特に重要な下塗り材の種類とその特徴について解説します。
プライマー
プライマーの特徴
プライマーは下地の密着性を高める下塗り塗料で、経年劣化の少ない築浅住宅や、滑らかな表面で塗装が剥がれやすい金属系素材の下地に適しています。
プライマーには主に水性と油性があり、素材に適したプライマーを選ぶことが重要です。
プライマーの種類
・浸透性プライマー
浸透性プライマーは主にモルタルやコンクリートなどの無機質系外壁材の表面強化を目的として使われる下塗り材です。
プライマーが外壁材に浸透することで、下塗り材の上に塗り重ねる上塗り塗料が外壁に吸い込まれるのを防ぐほか、プライマーが外壁を強化します。
経年劣化により強度が低下してきたコンクリートやモルタルなどでは、耐久性の修復を目的として浸透性プライマーを利用します。
・防錆プライマー
鉄部など錆が発生しやすい素材の外壁塗装では、防錆プライマーを利用することがあります。
一般的な下地材を使う場合、塗装前に錆びを落とすケレン作業が必要になります。
大規模なケレン作業が必要な場合、外壁材を大きく削ることになり、外壁材の耐久性に問題が出てきます。
防錆プライマーは錆止め効果だけでなく、既に発生している錆びを黒錆びに変化させて保護層を作る効果があり、ケレン作業により外壁を大きく削ることなく、さらにケレン作業の費用を抑える効果もあります。
・導電性プライマー
導電性プライマーは精密機器を取り扱っている環境などで、機械や床材に下塗りすることで導電性を高めて静電気が溜まりにくい環境を作れるプライマーです。
静電気が火災や機器の故障を引き起こすおそれのある精密機械や薬品を取り扱う工場などでは、安全対策のために電気を溜めにくい下塗り材を使います。
シーラー
シーラーの特徴
シーラーは下地の密着性向上と下地の吸い込みを抑える役割のある塗料です。
築10年以上経過した窯業系サイディングボードや木部、屋根材の下塗り材に適しています。
シーラーの種類
・水性シーラー
水性シーラーは、塗料の主成分が水でできているシーラーです。
廃棄や取り扱いに危険が少ないシーラーで、外壁塗装中の臭いが気になる方におすすめです。
ただし、油性シーラーに比べて耐久性が低い傾向にあります。
水性シーラーには「ヤニ止めシーラー」や「カチオン系シーラー」といった機能性タイプも存在します。
ヤニ止めシーラーはヤニやシミを防いでくれるシーラーで、臭いが少なく内装の塗装に向いています。
カチオン系シーラーは密着性が高く、防カビ・防藻機能があるため、外壁塗装のほか、ブロック塀塗装の下地材としても使用されています。
・油性シーラー
油性シーラーは溶剤系のシーラーで、取り扱いに注意が必要なため主に外壁塗装のプロ向けの下塗り材です。
外壁塗装や屋根塗装は劣化しやすい環境のため、油性シーラーを使用するケースが多くあります。
油性シーラーには「弱溶剤系エポキシシーラー」や「強溶剤系エポキシシーラー」のような機能性シーラーがあります。
弱溶剤系エポキシシーラーは、下地の修復効果に優れているため、旧塗膜の劣化状態が激しいときに使用するシーラーです。
このシーラーの上には水性系塗料または弱溶剤系塗料の塗装が可能です。
強溶剤系エポキシシーラーも同様に下地の補修効果に優れており、劣化症状の激しい塗膜に使用します。
ただし、旧塗膜が溶材の成分により膨れや縮みを発生させてしまう場合もあるため、事前にしっかりと点検したうえで使用します。
フィラー
フィラーはシーラー、プライマーにパテの機能を加えた下塗り材です。
モルタルやALCは経年によるひび割れが発生しやすく、ひびが大きくなると雨漏りリスクが高まります。
そこで、ひび割れを埋めて平滑な下地に仕上げるのがフィラーです。
また、表面の凸凹をなるべくなくして平らにし、できる限り滑らかな状態にして中塗り・上塗りができるように下地を整える効果も期待できます。
フィラーはモルタルやALCの外壁塗装のほか、劣化の激しいスレート屋根やセメント瓦にも向いています。
一方で、サイディングボードには向いていない下塗り材です。
フィラーは下地が熱くなるため、夏場に外壁の温度が上がると内側に熱がこもって塗膜が膨れ、塗装が剥がれてしまう恐れがあるためです。
微弾性フィラー
フィラーには通常のフィラーのほかにやや弾性のある「微弾性フィラー」と呼ばれるものがあり、戸建て住宅の外壁塗装では最も多く使われています。
伸縮性のある塗料は、クラックを埋めるだけでなく、ひびに追従して更なる割れを防ぐ効果もあります。
伸縮性のない下塗り材は、塗膜が硬く、地震などの揺れでもひびが入ってしまう場合があります。
このような現象を防ぐ機能から、微弾性フィラーは広く使われています。
バインダー
バインダーは吸い込みが少ない外壁材に使われる下塗り材です。
「バインド」には「結びつける」「関連付ける」という意味があり、外壁材と上塗り塗料を結びつける役割があります。
サーフェイサー
サーフェイサーは外壁塗装において、中塗りに使用される塗料です。
ひび割れや凹凸がひどい古い外壁材で、プライマーなどの下塗り材だけでは表面を整えられない場合に、サーフェイサーで中塗りを行い、表面を滑らかにします。
しっかりとした提案をしてくれる外壁塗装業者に依頼する
外壁塗装の下塗り材の種類をご紹介しました。
下塗り材は外壁材の種類や状態により使用するものが変わり、下塗り材により上塗り塗料の種類も変わってきます。
自宅の外壁に適した下塗り材を選ぶためには現地調査をしっかりと行ったうえで、外壁の状態に合わせた塗料を選定し、提案してくれる業者に依頼することがポイントとなります。
外壁塗装を依頼する際は複数の外壁塗装業者から相見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。